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『伝説のコピーライティング実践バイブル−−史上最も売れる言葉を生み出した男の成功事例269』

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伝説のコピーライティング実践バイブル―史上最も売れる言葉を生み出した男の成功事例269
『伝説のコピーライティング実践バイブル−−史上最も売れる言葉を生み出した男の成功事例269』(Robert Collier ロバート・コリアー・著、神田昌典・監訳、齋藤慎子・翻訳/ダイヤモンド社) 2011/3/18 5,040円 716ページ【単行本(ソフトカバー)】編集担当:寺田庸二 装丁:廣田清子(Office Sun Ra)

「本書が刊行された1930年代にコリアー氏がまとめた文章の本質を見つめれば、それは目的の実現に向けて必要なサポーターを集めるための『呼びかけの作法』であることがわかる。(中略)技術による社会変化の過程で人間関係が希薄化していくなか、コリアー氏はレターの温もりを伝え、人々のつながりをつくっていた。その結果、さまざまなビジネスが生み出され、立ち上がっていった。この『呼びかけの作法』を−−自動車に代わってインターネットによる社会変化が加速している−−現代によみがえらせたとき、それは『魔術』と言ってもいいほどの効果を持つだろう」

本書は、ジョン・ケープルズ著『ザ・コピーライティング』に続く書籍で(以前紹介した記事も参照)、その後に発売された『ザ・マーケティング【基本篇】・【実践篇】』と合わせて、経営コンサルタント、作家など活躍が多岐にわたる神田昌典さん監訳の“ダイレクトマーケティング三部作”の第二弾の位置づけ。著者は米国のダイレクトマーケティングを築いてきた伝説のコピーライター、ロバート・コリアー氏(1885~1950)。原書は『The Robert Collier Letter Book』。ロバート・コリアー氏はあの『ザ・シークレット』の書籍でも登場する(こちらではロバート・コリエーとなっている)。

まず目を引かれるのが「若き神田昌典は、この本の原書に8万円をはたいて、むさぼり読んだ!」というキャッチコピー。これについては、「監訳者・はじめに」で30歳の頃の神田さんがバインダー形式の原書を米国から当時のレートで8万円近くで購入したエピソードが描かれている。本書の原書の発売は1937年。70年以上にわたって読み継がれた原書を、本という形式でよみがえらせたのがこの『伝説のコピーライティング実践バイブル』。26章立て269もの成功事例が収録、716ページという大ボリュームのまさに“バイブル”。このボリュームと内容を考えると5,040円という値段も決して高くはないと思う。

本書で紹介されている実践ノウハウは、ソーシャルメディア全盛の今だからこそ応用できるスキルや、人々の心に語りかける“呼びかけの作法”のスキルに活かせるヒントが詰まっている。
ただ、「コピーライターの多くが、効果があったレターの言いまわしをマネれば、そのレターも効果があるはずだと勘違いしている。大間違いだ。言いまわしは重要ではない。効果があったレターを裏づけているアイデアにどう手を入れるかが重要なのだ」とコリアー氏が語っている通り、そのまま使用するのではなく、言葉の背後にある普遍的なアイデアを抽出することで、活かすことができる。

本書ですごいと思ったのが、現代では法律に抵触してしまいかねない事例もそのまま紹介しているところ。「はじめに」で神田さんがその理由を語っていて、該当する事例には注意書きが記載されている。

「相手に行動を起こさせる」ための効果実証済の事例が参考になるのはもちろんとして、事例によっては、「理性にしか訴えず、あまり成果が挙らなかったレター」「理性を納得させ、感情に訴えたレター」といった同じ商品の訴求でも2パターンを掲載したものもあって、より理解度が深まる。

「効果的なレター」に含まれる6つの必須要素は下記のようにまとめられている。
1. 書き出し−−好奇心をそそって続きを読ませる
2. 描写や説明−−提案するものをイキイキと描写する
3. 動機や理由づけ−−相手にとってどう役に立つのかの視点で説明する
4. 保証や証明−−こちらの言っていることが本当だという証拠を示すか、「全額返金保証」で信頼を得る
5. 決め手のひと言や不利益−−不安な気持ちにさせて、ただちに行動させる
6. 結び−−すべきこととそのやり方を伝え、いますぐ行動しやすくさせる

5の「“いますぐ行動しなければ、お金や評判、あるいは自分のものになるはずのチャンスを失う”と不安な気持ちにさせて」など、言語化して説明されるとコワくもある。

事例で心動かされたのは、育ち盛りの子をもつ親に向けた、世界の子ども向け文学作品をおさめた『ジュニア・クラシックス』全集の売り込みレター。「『母に本を読んでもらったことが一度もなかった』と言わざるをえない人は気の毒な人です」から「お母さんが子どもに本を読んであげることほど、最高の学びの場はありません」に続く内容であったり、米国の作家、『O・ヘンリー短編集』を2年間で200万ドル分売ったレターやパンフレット内容を見ると、「買わなきゃ!?」という気にさせられる。

印象的だったのが、「個別ニーズに応じたアプローチで、年間売上200万ドルの会社を立ち上げた男」のジョン・ブレアのエピソード。レインコート売りをしていた時に、黒のレインコートを求める男が葬儀屋であることを知って、「葬儀屋は全米に92万業者あり、大都市を除けば、その誰もが同じ問題に直面しているに違いない」と考え、ビッグビジネスに結びつけていったところ。

何よりも、これだけ効果実証済みの実践ノウハウを生み出したコリアー氏が、成功した後でも、絶対的なものは存在せず常に変化し続けるものととらえていて、「今日学んだことを明日は忘れなければならない」という心構えでいたことや、「やってみるまでは何が当たるかわからない」と言えてしまうところにグッときた。

【本書で特にグッときたフレーズ】
相手をよく研究する。相手に関心があることを見つける。そのうえで、こちらが提供するものをよく調べて、それを相手の関心とどう結びつけるのがいいかを考える。

行動してもらいたければ、常に相手の感情を狙うのだ。

背景ストーリーで感情をかき立てる。

商品説明はもちろん必要だ。しかし、どれだけ興味を引くように説明したところで、それだけで商品が山と売れることはまずない。重要なのは、買ってくれる人にそれがどう役立つかだ!

行動には基本的な動機が6つある。愛情、得、義務、誇り、気まぐれ、自衛本能だ。

どんなセールスレターにも、なんらかの根拠か証言を盛り込むべきだ。

人にはすぐ軽々しく信じる傾向があるとはいえ、うちの製品は世界一とか、一番安いとか誰もが主張するのは聞き慣れているので、そうしたことはすべて話半分に聞くようになっている。ところが第三者から、自分が受け取った商品やサービスがいかにすばらしいかをとても興奮した様子で聞かされると、興味津々になる。

こちらの言うとおりにしなければ大事な何かを失うかもしれない、という不安を、レターの結びの部分でかき立てられなければ、成果は得られないのだ。

まず目指したのは、この短編集自体を欲しいと思わせること。それができたら、買うべき理由を思いつく限りたくさん並べて、いますぐに買わなければならない決め手の理由を説明する。最後に、注文のしくみを簡単にする。

さあ、今日から始めるチャンスです。「明日」という言葉がスペイン人の凋落の原因になったことは、ご存知のとおりです。スペイン人に何か頼むと、いつも決まって「明日」と言いますが、その明日が来た試しはありません。

ただ割引価格とするだけでは不十分なのだ。品質で手抜きをして安くする方法はいくらでもある。なぜ価格を低く抑えられるのか、納得してもらえる理由が必要だ。

ある商品を売り込むのに効果的なアイデアであれば、ほかのほぼどんな商品の売り込みにもつくり変えることができる。

無料プレゼントでさえ、複数のなかから1つ選んでもらうようにすると、注文が半減した。そういうわけで私は常々、売り込むのは一度に1つだけ、と言っている。

いつもご愛顧いただいているお客様へ
めったにないことですが、これほど画期的な発明商品は、メーカーに先がけてお知らせする価値があります!

今日学んだことを明日は忘れなければならない。

無料プレゼントは相手が必ず欲しがるものを。

人は誰でも自分を特別な存在と思いたいものだ。自尊心を高めてくれるもの、一般的な事柄に対して自分がもっと必要とされていると感じさせてくれるものならなんでも、間違いなく喜ぶ。

誇りは、進取の精神や向上心に欠けること、つまり、現状に自己満足して働こうとしないことの口実にすぎない。


【次におすすめしたい書籍】
神田昌典さん監訳の“ダイレクトマーケティング三部作”の第一弾。
※参考『朝の図書館』No. 24
伝説の名文句「私がピアノの前に座るとみんなが笑いました。でも弾き始めると−−!」−−『ザ・コピーライティング』


“ダイレクトマーケティング三部作”の第三弾の【基本篇】。

“ダイレクトマーケティング三部作”の第三弾の【実践篇】。

投稿『伝説のコピーライティング実践バイブル−−史上最も売れる言葉を生み出した男の成功事例269』朝の図書館(library in the morning)の最初に登場しました。


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